フェルミ推定 2014 10 12

書名 数学×思考=ざっくりと
著者 竹内 薫  丸善出版

「日本の国道の総延長を求めよ」
(ヒント)
国道の数は、459本である。
日本で一番短い国道は、187メートルで、
一番長い国道は、743キロメートルである。
 実は、ヒントに「わな」があり、
たいていの人は、誤答となってしまうかもしれません。
 なぜかというと、短い国道と長い国道の数字を使って、
平均値を求める前に、「分布」を考える必要があるのです。
 そこで、もっと、わかりやすい問題で考えてみましょう。
あるクラス(50人)の数学の点数は、こうでした。
最高点が98点、最低点が2点でした。
平均点は、50点ですか。
 いいえ、違います。
この時のテストは、簡単な問題が多く、
多くの学生が70点から80点の点数を取ったのです。
だから、平均点は50点にはなりません。
 ここで重要なことは、得点の「分布」を考える必要があります。
特に数学の平均点は、難しいかもしれません。
 数学というものは、特に高等数学になってくると、
得意な人と苦手な人に極端に分かれるからです。
 だから、テストの点数では、70点から80点に分布が集中するほかに、
10点から30点にも得点の分布が集中するかもしれません。
 だから、平均点を50点とするのは、
あながち間違いではないという文科系的な勘は正しいかもしれません。
 しかし、これは、経験論的な解答であり、
決して、数学的な解答ではありません。
 話が長くなりましたが、
要するに、計算をする前に、データの「分布」を考える必要がある。
これだけ覚えれば、フェルミ推定の「香り」を味わったことになります。
 ところで、この本には、物理学者に対する悪口が書いてあるような気がします。
今年(2014年)は、日本人がノーベル物理学賞を受賞して盛り上がっているのに、
水をさすような話が書いてあります。
 しかし、同じ物理学と言っても、分野が違うかもしれません。
今年の物理学賞は、LEDという分野で、
これは、化学や工学に近い分野でした。
 ところで、自然界には、4つの「力」があります。
重力、電磁気力、強い力、弱い力。
 問題は、重力です。
4つの「力」の中で、意外にも重力の力は弱いのです。
そこが苦慮するところです。
 これに対して、著者は、
「3次元でも考えるのが大変なのに、
物理学者は、11次元まで広げてしまった」と言います。
「宇宙を11次元まで広げると、楽なことがある。
電気や磁石の力は、3次元の空間に閉じ込められているが、
重力は、もっと高い次元まで染み出している。
つまり、われわれの世界から外に漏れているために、
重力は、弱いのだと説明できてしまう。
だから、物理学者は、宇宙を11次元まで広げてしまった」
 さて、重力は、どう考えましょうか。
素粒子、光子、重力子・・・・・。
これは、粒子にこだわった考え方です。
この方法で頑張るか、全く発想を変えていくか。
重力解答の悩みは尽きないかもしれません。
 数学から物理学まで話が飛躍してしまいましたが、
「計算をする前に、データの分布を考える必要がある」ということです。
 これは、ビジネスにも役立つ考え方です。
数学は教室の中だけではなく、ビジネスや仕事にも役立つのです。





































































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